「三三七拍子」というリズムがある。学校の運動会の応援でよく使われるものだ。
まずリーダーが「これから三三七拍子で応援をおこないたいと思います」という。それからリーダーが打ち振る扇子などにあわせて、みんなで手をたたく。
リズムは以下のとおりだ。
そーれ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ
「ちゃっ」が3つ、3つ、7つとあるので三三七拍子というわけだ。
だが、これは本当は「四四八拍子」なのである。なぜなら、各行の最後には一拍分の休止があるからだ。
つまり、こうだ。
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、〇
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、〇
ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、ちゃっ、〇
これと同様のことが、短歌や俳句にもあてはまる。
ただし、短歌や俳句では、五のうしろに休止がある。
したがって、
短歌は「五七五七七」ではなく「六八六八八」、俳句は「五七五」ではなく「六八六」である
(詳しくは『日本語のリズム――四拍子文化論』(別宮貞徳、ちくま学芸文庫)を参照)。
あまのはら〇
ふりさけみれば〇
かすがなる〇
みかさのやまに〇
いでしつきかも〇
(阿倍仲麻呂)
ふるいけや〇
かわずとびこむ〇
みずのおと〇
(松尾芭蕉)
もうひとつの例をみてみよう。
英語の長い単語を日本語のカタカナ略語にすると、その多くは四拍になる。
リストラ、ハイテク、インフラ、イントロ、シンクロ、インフレ
ただし、例外もある(レトロ、デフレ)。
さらに例をあげる。
日本の子供向けの歌を調べたところ、約180曲のなかで、三拍子のものはわずか15曲にすぎず、その他のものは二拍子、四拍子だったという([2] 『日本語のリズム――四拍子文化論』(別宮貞徳、ちくま学芸文庫、p.201)。
盆本踊り歌や民謡も、やはり四拍子のものがほとんどだ。
このように
日本語は基本的に二拍子、四拍子の言語なのである。
したがって日本語を母語とする私たちには、二拍、四拍のリズムが骨の髄にまで染み込んでいる。
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そして、つぎに注目しなければならないのは、日本語のように二拍子、四拍子をリズムの基本とする言語である一方で、
三拍子を基本とする言語も世界には数多いという事実である。
たとえばお隣の韓国語は、日本語とはちがって三拍子を基本とする言語だそうである(同上、p.202)。
これについては、このような逸話が紹介されている。
韓国の子供の満一才の誕生日にその家庭に招かれた。(略)
伯母ちゃんと呼ばれる人が子供の前にペタリと座り何か歌い出した。それは三拍子であった。
そして両手を揃えてフラダンスのようにいともしなやかに右へ、左へと波打たせ、三拍子にあわせて歌いつづけるのであった。
この拍子、この手振り、これは日本人からは全く期待のできぬ異質のものであることを直感して、私は息を飲む思いで見つめた。
韓国人の心の故郷は三拍子であろうか。
ウィルウェーバー・エン、「大手前女子大学論集」第七号、昭和48年
(つづきは↓)

(ことさきく|「大きな日本人」を育てる!より)


