こんにちは。「ことさきく」運営スタッフの髙橋です。
こちらの「つぶやき」コーナーでは「ことさきく」運営スタッフ――全員成瀬先生の弟子です――が先生の難しい理論をわかりやすく、それぞれの感想を交えながら解説しています。
だいぶ時間が経ってしまいましたが、以前、日本語の文には「命題」「対事的モダリティ」「対人的モダリティ」がある、ということを書きました(「運営スタッフのつぶやき 02」)
今回は手紙の中のモダリティを見てみます。
日本語の手紙はモダリティ満載です。
逆に英語の手紙はフォーマルであればあるほど必要事項しか書かないそうです。
10年近く前、イギリス人の先生からオンラインで英語を習っていたことがあるのですが、そのときのテストで何かを送るときのカバーレターを書くという課題がありました。いつもメールに書いているような調子で、
Dear …
I hope this mail finds you well.
といった文を冒頭に入れたら大幅に減点されました。
フォーマルであればあるほど、また相手のことを知らないときは要件だけで良いそうです。
正解例は
To whom it may concerned.
Enclosed is the catalogue which you have requested.
といった書き出しで、結びも何も挨拶らしい言葉を入れず、
Sincerely yours,
だったと思います。
日本の手紙は違いますね。
すくなくとも現代の正式とされる手紙は頭語、時候の挨拶から始まって、結びの言葉で終わるのが最もフォーマルな書き方とされています。
この頭語や時候の挨拶、結びの部分には命題的な要素はほとんどなく、「対人的モダリティ」だけのようです。「今後ともご指導ご鞭撻のほどお願いいたします。末筆ながら皆様のご健康とご多幸をお祈りいたします。」といった表現もほとんど対人的モダリティだと思います。または、皆様のご健康は確かにお祈りしているので書き手の主観という意味では「対事的モダリティ」だと思います。ただ、手紙の最もいいたい部分ではないので命題ではないのです。
以前は定期的にお茶の先生にそういうフォーマルな手紙を書く必要があって、いつも思っていたのが「命題だけなら一筆箋で済むのに…」ということでした。
☆☆☆
ちなみに、美術館などで軸装された千利休筆、小堀遠州筆などの手紙は、頭語や時候の挨拶はないことが多いですね。
たいていは要件で始まり、最後に日付、署名、あて名、花押などで終わっているように思います。
いつからいまのような形式になったのでしょう?紙が安価になってからでしょうか?
以上、今日のつぶやきでした。
(運営スタッフ:髙橋)
