先日インタビューをした金谷武洋さんは日本語の先生だが、同時に語学の達人でもある。カナダのケベックに50年住んでおり、英語とフランス語に熟達しているだけでなく、ドイツへも留学経験がある。
その金谷さんが著書の『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』のなかで鋭く指摘しているのが、日本人の「声」の問題である。具体的には、
日本人の英語の声は遠くに届かない
のである。
以下を読んでもらいたい。
どうしてこの点がもっと指摘されないのか、私は不思議でたまらないのですが、日本人が「英語下手」な大きな理由の一つは私たちの「声」です。町の本屋さんで手に入れる英会話の本は、単語やイディオム集といったものが多いようですが、カナダで留学を始めたころ、私が一番しつこく注意されたのが実は「声」でした。
友人や知人に何度同じことを言われたことでしょうか。
「え、ごめん。聞こえなかった。もう一度言って」
日本人の声が遠くへ届かないことは通訳を交えた会議などでもやや絶望的で、よく言われる日本人会議参加者の「3S」、つまり「沈黙(Silence)」「微笑(Smile)」そして「居眠り(Sleep)」もその原因の一つは「声の弱さ」にあります。せっかく大事な発言をしても、他の参加者に声を拾ってもらえず、内容はともかく声の大きな人の方に注意を横取りされてしまうことが多いからです。
(『日本語が世界を平和にするこれだけの理由』、金谷武洋、pp56-7)
せっかく大事な発言をしても他の参加者に声を拾ってもらえず、内容はともかく声の大きな人の方に注意を横取りされてしまう――
なんともったいないことか!
☆☆☆
そして、ただ声を大きくするということだけであれば、いますぐにでも、できることなのだ。
声を遠くまで届かせるためのボイストレーニング方法としては、次のようなものがある。
無理に大声で叫ぶのではなく、腹式呼吸と声の響き(共鳴)を使って息を前に飛ばすことが大切だとされている。
- 腹式呼吸:ドッグブレス、ティッシュ吹きトレーニング
- 鼻腔共鳴:ハミング、鼻をつまむチェック
- 距離感を意識した発声:5m、10m先を狙うイメージで発声
- 強勢ストレス音節をはっきりと発音
これらのトレーニング方法の詳細情報については、オンラインにいくらでもころがっている。それを参考にすればよい。
なによりも大事なのは、自分自身の気づきと、やるという意思だろう。
で、いつやるの? いまでしょ!
(ことさきく|「大きな日本人」を育てる!より)


