私(成瀬)は今年の春から「ことさきく」というプロジェクトをスタートしました。ほとんどの方にとって「ことさきく」とは耳慣れない言葉でしょうが、これは以下の万葉集にある柿本人麻呂の歌からとったものです。
「葦原の 瑞穂の国は 神ながら 言挙げせぬ国 しかれども 言挙げぞ我がする 言幸く(ことさきく) ま幸くませと 障みなく 幸くいまさば 荒礒波 ありても見むと 百重波 千重波しきに 言挙げす我れは 言挙げす我れは」
(蘆原の瑞穂の国の私たちは、自分の心を言葉にはしないものです。しかしいま、私は言葉に出して言いましょう。どうかご無事で、ご無事であれと。何事もなくご無事であって変わらぬ今の姿のまま、またお逢いをしたい。荒磯に寄せる百重波千重波のように、幾度もご無事であれと言葉に出して申し上げます、申し上げます。)
この歌は、遣唐使を送り出すときにどうかご無事でご帰還くださいという願いをこめて歌われたもので、「ことさきく」には「言葉の力によって無事に」という意味が込められています。大きな課題に直面している現在の日本と日本人に送るエールとしてまさにふさわしい言葉だと思い、プロジェクト名としました。なおロゴとなっているのは、日の丸を掲げた小さな船が、日の出を背景として大海原へと出発していくところを表したものです。
「ことさきく」プロジェクトは、一言でいってしまえば、心と言葉の観点からの日本人の改革運動です。敗戦後80年にわたって私たち日本人の心に刷り込まれてきた「小さなアメリカ人」になるという呪縛からみずからを開放し「大きな日本人」へと成長することを目指すべきだという「心のパラダイムシフト」を生じさせるための、日本人と日本社会への働きかけです。
具体的にいうと、ネイティブ英語崇拝のマインドコントロールから自分自身を解き放ち、日本語をもっと大切にしてさらに磨き上げることに努力し、そのうえで「第二言語としてのグローバル英語」の習得を目指しましょう、という日本人全員への呼びかけであり、そのための具体的な学習方法と学習機会を提供していくというものです。
私が二十歳のときから50年にわたって取り組んできたことは、この「心と言葉の観点からの日本人の改革運動」のための土台づくりでした。具体的にはその理念・理論・手法の構築でした。いまそれが一応の完成をみました。ようやく準備が整ったと判断します。その判断のうえでそれを現場で展開していく活動が「ことさきく」プロジェクトです。
これからは日本語、英語、翻訳のすべての領域での「ことさきく」活動を同時展開していくつもりです。
まず日本語・英語・翻訳に関するさまざまなレッスンや情報提供をいろいろな場(note、youtube、オフラインの教室など)でできるかぎりやってみて、その結果を分析評価したうえ、具体的な活動の方向性を決めていくという作業が必要だろうと思います。これからの半年ぐらいは、そうした時期にあたるのだろうと思っています。
「ことさきく」は、まだ港を出たばかりのちっぽけな船です。志(こころざし)を同じくする仲間たちも、まだ数人しかいません。けれども、これからの日本人と日本の針路を決める、とても重要なプロジェクトだと自負しています。長い長い航海になるでしょうし、さまざまな困難が待ち受けているでしょうが、私たちは決してあきらめることなく船を前に進めていきます。
もし「ことさきく」の志(こころざし)にご賛同していただけるようであれば、ぜひ仲間になってください。私たちといっしょに日本人の心と言葉に改革を起こしましょう。ご賛同いただける方はぜひcontact※kotosakiku.jpまでご連絡ください。(注) メールでご連絡いただく際、「※」を「@」に変更してご連絡ください。
